政治の流動化をもたらす「ネット政治」

足立正彦
執筆者:足立正彦 2010年12月20日
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

 米国政治の党派対立の激化や分極化を助長する要因として、民主、共和両党における団体及び活動家の活動の活発化や、予備選挙の脆弱性、両党内における中道寄りの穏健派議員のプレゼンスの低下などについて「アメリカの部屋」では取り上げてきた。今回はもう一つの重要な要因と考えられる「ネット政治」の影響について考えてみたい。

 今年11月に実施された中間選挙で共和党の歴史的勝利が判明した直後、共和党が取り組むべき課題についてミッチ・マコーネル共和党上院院内総務(ケンタッキー州選出)がメディア関係者から問われた際、先ず口にしたのは、米国が現在直面している財政赤字削減などの喫緊の課題の克服やレイムダック会期あるいは第112議会で取り組むべき立法措置についてではなく、2012年大統領選挙でのオバマ再選阻止に向けた共和党の決意についてであった。マコーネルはそのような党内向け発言を行わない場合、共和党支持者から議会共和党指導部のオバマ政権や民主党に対する対決姿勢が「弱腰」との批判を受けかねないことを十分意識したうえで、意図的にそのような発言を行ったと推測される。

 米議会上下両院で、25万ドル以上の所得がある富裕層も対象にした個人所得減税である「ブッシュ減税」の2年間延長や、失業保険給付の13ヶ月延長を柱とする総額8580億ドルの追加経済対策法案が可決され、今月17日にオバマ大統領は署名して正式に成立した。中間選挙直後のレイムダック会期において、内政上の最大争点であった年末に失効する「ブッシュ減税」の扱いについて、ハリー・リード民主党上院院内総務(ネヴァダ州選出)は共和党が失業保険給付支給の延長に応じるのであれば民主党としても富裕層も対象にした「ブッシュ減税」の延長に柔軟姿勢で臨むとの発言を行った直後、リード発言に抗議する内容の大量の電子メールなどが党内リベラル派勢力からリードの議員オフィスに殺到する状況が生じた。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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