戦略なき日本の「サハリン沖開発」

執筆者:五十嵐卓 2000年11月号
エリア: ロシア 日本

中国、ロシアがプロジェクトを本格化する一方で――「サハリンからの天然ガスはこのまま行けば二〇一〇年以降でしょう」。あるガス業界関係者はこう指摘する。サハリン島東岸沖で進む天然ガスの開発プロジェクトの対日供給の開始時期だ。日本に近い巨大エネルギー資源として世界の関心をひき、エクソンモービル、シェルなどメジャーと日本のエネルギー業界、大手商社が共同で進めるサハリン・プロジェクトは「日本のエネルギー需給構造を大きく塗り替える潜在力を持つ」との期待を集める。 特に昨年来の原油価格高騰、アラビア石油の対サウジアラビア権益失効でサハリン・プロジェクトの価値は明らかに高まったはずだが、国内ではエネルギー業界での盛り上がりに欠け、サハリンからの日本向けパイプラインの検討すら先延ばしする空気が濃い。背景にあるのは「日の丸油田」開発以外にエネルギー戦略を描けない政府と、規制緩和の波にもまれ発想が縮小均衡に陥っているエネルギー業界の姿だ。

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