ハリウッドを揺さぶる“CG俳優”

執筆者:ルイーズ・ブランソン 2001年9月号
カテゴリ: IT・メディア 国際
エリア: 北米

映画「ファイナルファンタジー」には生身の役者は一人も出てこない。かつてない“合成俳優”の出現に、トム・ハンクスも不安の色を隠さない。[ロサンジェルス発]近頃のハリウッドは、まさにSFを地で行く「すばらしい新世界」だ。 日本では九月十五日から公開される映画「ファイナルファンタジー:The Spirits Within」(監督・坂口博信)の登場人物は、すべてコンピュータが生み出したもの。実写と見紛う精巧さに、トム・ハンクスのような超大物スターから無名のスタントマンまで、今や全米の俳優が新たな脅威に戦々恐々としている。 果たして、生身の役者はお払い箱になってしまうのか? 映画産業は、オタクとコンピュータに牛耳られることになるのか? 米映画俳優組合(SAG)のストに振り回されることも、予算オーバーに頭を抱えることもない。ロケハンの手間も不要なら、長時間の過酷な撮影に耐える必要もない。そして、コンピュータのうなりだけが響く部屋であらゆる作業が行なわれる、そんな時代が来るのだろうか? ハリウッドの最新超大作「ファイナルファンタジー」には、誰ひとり血の通った人間が登場しない。同名の人気ゲームソフトのプロデューサーでもある坂口監督は、映画化に当たって本物の俳優を一切、起用しなかった。曲線美も悩ましい主人公のアキ・ロス博士や、いかつい顔の相棒、シド博士は言うに及ばず、脇役の一兵士に至るまで、登場人物のことごとくが“Synthespians(合成俳優)”なのだ。

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執筆者プロフィール
ルイーズ・ブランソン イギリス出身。英『サンデー・タイムズ』紙モスクワ支局長を経てフリーランスに。米『ワシントン・ポスト』紙元モスクワ支局長で夫のダスコ・ドーダー氏との共著に『ミハイル・ゴルバチョフ』『ミロシェビッチ――暴君のポートレイト』がある。
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