原油安が火をつける「原理主義の暴発」

執筆者:小西太 2001年10月号

需給ギャップ拡大による原油のプライスダウンは、財政悪化に悩む産油国の政権を揺さぶる。OPEC加盟国内部のイスラム原理主義勢力台頭と、それに続く原油高騰のリスクは、むしろ高まっている。[ロンドン発]米英によるアフガニスタン攻撃で懸念されていた原油相場の高騰は、いまのところ現実化していない。実際、「米同時テロは石油危機に直結しない」という指摘は短期的に正しいだろう。だがむしろ、リスク要因は原油価格の急激な低下にある。原油暴落による財政難は、かろうじて親米・反テロの姿勢を保っているサウジアラビアなどイスラム産油国で、現政権の存立基盤を脅すからだ。イスラム原理主義勢力が現政権に取って代わったとき、「テロとの戦争」は「イスラムとの戦争」に変質してしまう。 米投資銀行のゴールドマン・サックスは最近のレポートで「二〇〇二年の原油価格は一バレル=十六ドル」と予測した。米同時テロをきっかけに世界経済が停滞する可能性が高いことを考えれば、妥当な水準だ。しかし、米英のアフガニスタン攻撃を受け、国内のイスラム原理主義勢力が不穏な動きを見せるイスラム産油国にとって、一バレル=十六ドルは掛け値なしの「危険水域」でもある。

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