小手先の「時価会計対策」に走る銀行の悪あがき

執筆者:石山新平 2001年10月号
エリア: 日本

減損処理の恣意的解釈、帳簿価格引き上げのためのナンピン買い、益出しクロス……。この期に及んでもいまだに「会計マジック」に頼る銀行の末期的症状。 銀行などが保有する持ち合い株式に「時価会計」が適用される二〇〇一年九月中間決算。大幅な株価の下落を背景に、すでに主要金融グループが軒並み赤字決算に転落することが明らかになった。保有株に抱えた損失を処理する健全化への第一歩のはずなのだが、内実はどうも怪しい。この期に及んで損失先送りを狙う動きもみられ、銀行決算につきまとう不信感はとうてい払拭できそうにない。差が出た各行の「解釈」 九月二十八日金曜日。九月最後の取引となった東京株式市場での日経平均株価の終値は、九七七四円六八銭と一万円を下回ったまま引けた。一万円割れの水準は一九八四年以来。銘柄入れ替えで単純比較できないにしても、株価がバブル前の水準に戻ったことだけは明らかだ。大量に株式を保有する企業経営者、とくに銀行の担当者は固唾を飲んで引け値を見守っていた。だが期待もむなしく、九月中間期末の株価は、半年前の三月期末一万二九九九円七〇銭に比べて三千二百円、率にして二五%という大幅な下落になった。 銀行経営者が株価を注視していたのはほかでもない。二〇〇一年九月中間期から、銀行が保有する持ち合い株式に「時価会計」が初めて適用されるからである。持ち合い株式への時価会計の適用は、一連の会計制度の改革である「会計ビッグバン」の中でも、特に影響が大きいものとみられてきた。時価会計を嫌った銀行による株式売却が進み、九月危機をもたらすとの見方も根強かった。

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