革新者が詐欺師に転ずる時

執筆者:喜文康隆 2001年12月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

「代数の法則を使ってフランスを破滅させた、たぐい稀な機略家で、有名なスコットランド人ここに眠る」(メルキュール誌一七二九年四月号『ジョン・ローの周辺』より)     * 資本主義にとっては「革新性」と「いかがわしさ」は紙一重である。そのことを改めて確認させてくれたのがエンロンの倒産劇だった。 一年前には株価が九〇ドルを超え、今年二月には『フォーチュン』誌の全米企業五百社ランキングで第七位に選ばれたエンロン。その企業の株式が、こんなにも早くただの紙切れになることを誰が予想しただろう。同社が発行した債券は、世界の金融市場の混乱の火種になっている。 一九八〇年代の半ば、二つの天然ガスのパイプライン会社が合併して誕生したエンロンは、九〇年代の後半に急速に頭角をあらわす。しかし、その実体は誰も正確につかめないまま、キャッチフレーズだけが一人歩きした。いわく、「世界ナンバーワンのエネルギー企業」「規制緩和の申し子」「あらゆる商品を売買する金融企業」「世界一のバーチャル取引所」……。グローバル化、IT化、自由化といった時代の流れや、アメリカの復権を、エンロンはたくみに自身の企業イメージに結びつけた。

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