ラルフ・ネーダーが挑んだ「資本主義との闘い」の虚実

執筆者:喜文康隆 2002年2月号
エリア: 北米

「理性的にものを考えられる推論者が、自分の整合性を確信しようとすると、その過程で不整合になってしまう」(レイモンド・スマリヤン『決定不能の論理パズル―ゲーデルの定理と様相論理』)     *「拝啓、ビル・ゲイツ様。株主に配当を支払わない経営方針を見直していただきたく筆をとりました」 今年初め、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長に宛ててこんな手紙が送られた。差出人は市民運動の闘士、ラルフ・ネーダー。ネーダーの論理は「(三百六十億ドルもの)巨額の手元資金を抱えながら、これを配当で株主に還元しないのはおかしい」という、一見、株主の利益を代弁した主張である。「利益の内部留保で高めた株価を企業買収や人材確保というさらなる成長戦略に活用するシリコンバレー型経営モデルが曲がり角を迎えた」。日経産業新聞の記事はこう伝えている。 だが、ネーダーは本当に株主の利益を代弁していると言えるのだろうか?総会屋の手法と類似 彼が市民運動の旗手に躍り出たのは、一九六五年、「どんなスピードでも危険だ」とのキャッチフレーズでGMの欠陥車問題を告発した時である。ベトナム戦争が始まり、強いアメリカの神話が揺らいで、資本主義に対する疑問符が投げかけられた時期だった。

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