中国経済統計の「本当に分からない部分」

吉崎達彦
執筆者:吉崎達彦 2002年6月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 中国・台湾

中国GDP成長率の信憑性をめぐる議論が活発化しているが、疑問符がつくのは国際収支の実態も同じ。「分からない部分」に隠れた要素が、中国社会と国際経済の見えざる混乱要因になる可能性もある――。 この法則は覚えておいて損はない。a×b=七〇となる場合、a%成長をb年続ければ全体の量はほぼ倍になる。たとえば一〇%の金利がつく金融商品は、七年後には二倍になる。これが七%なら十年後、五%ならおよそ十四年かかる計算になる。 めざましい経済建設を続けている中国は、七%成長を十年続けて経済規模を現在の二倍にすることを目指している。このことは、第十次五カ年計画でも高らかにうたわれている。この意欲的な計画が達成されることを疑う者は、すでにエコノミストの間でも少数派だ。論より証拠、天安門事件の余波で経済が低迷した一九九〇年前後を除けば、中国経済は一貫して七%以上の成長率を続けてきた。 中国にとって、七%成長は一種のマジックナンバーだといわれている。都市や農村の余剰人口を吸収し続けるためには、年率七%以上の成長が不可欠である。成長率が七%を下回ると社会の安定は失われ、共産党政権に対する信頼が揺らいでしまう。一九九七年にアジア経済が危機に見舞われた際には、輸出の減少を補うために財政支出を増加させ、内需の振興によって七%成長を維持した。今後も西部大開発や中国版IT革命をテコに、新たなフロンティアを開拓しつつ安定成長を維持するという。

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執筆者プロフィール
吉崎達彦
吉崎達彦 双日総合研究所チーフエコノミスト。1960年(昭和35年)富山市生まれ。一橋大学社会学部卒業後、1984年日商岩井(現双日)に入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会調査役などを経て現職。新聞・経済誌・週刊誌等への執筆の他、「サンデープロジェクト」等TVでも活躍。また、自身のホームページ「溜池通信」では、アメリカを中心に世界の政治経済について鋭く分析したレポートを配信中。著書に『溜池通信 いかにもこれが経済』(日本経済新聞出版社)、『1985年』(新潮新書)など、共著に『ヤバい日本経済』(東洋経済新報社)がある。
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