インテリジェンス・ナウ
インテリジェンス・ナウ

インド洋「3隻のミステリー船」と対イラク・情報戦争の行方

春名幹男
執筆者:春名幹男 2003年4月号
カテゴリ: 国際

 米軍のイラク攻撃は、国連安全保障理事会の討議が延びて、当初目標より大幅に遅れる結果となった。だが、情報戦争の立場からすれば必ずしもマイナス面ばかりではなさそうだ。 フセイン大統領周辺の幹部やイラク軍高級将校らエリートたちをターゲットにした心理作戦には時間の余裕ができたし、開発中のスパイ機器を対イラク戦で試験投入する準備期間もとれた。二月末で六百カ所を超えた国連査察のおかげで、さらに詳しいイラク国内の軍事情報が得られた。開戦までに、未知の大量破壊兵器の隠匿情報を入手できるかもしれない――そんな期待感さえあるのだ。 イラクに対する心理作戦は、eメールや携帯電話、ラジオの謀略放送、ビラによるいわばローテクの情報戦争。 二月中旬にはまず、イラク軍・政府エリートの私用のeメールアドレス、続いて携帯電話の番号に、メッセージが流された。内容は公開されていないが、アラビア語で「フセイン大統領は裏切り者だ」「フセイン政権に未来はない」「米軍に対する抵抗は無意味だ」などとフセイン政権に対する反抗や投降を呼び掛けたようだ。 それにしても、イラクのエリートたちのメールアドレスや携帯電話番号のリスト作成は容易ではなかっただろう。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
価値あるバックナンバー
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順