北朝鮮核問題が変える東アジア地政学

執筆者:黒田勝弘 2003年6月号
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

中朝同盟の“揺れ”と米韓同盟の“緩み”は、見事な相似形をなしている。日本近隣の戦略地図がガラリと変わるかもしれない。[ソウル発]北朝鮮は先に北京で行なわれた米国、中国、北朝鮮の三者協議の際、「核保有宣言」をやってのけた。協議のテーブルでではなく、いわば場外で米国側にささやいたかたちだという。核実験など確認しうる証拠はないため保有の真偽は不明だ。しかし自らそういっているわけだから、国際社会はそれを前提に対応するしかない。「核保有」というところまで北朝鮮を甘やかした(?)のは誰か。「太陽政策」という名の一方的支援と、「対話と交流のためには北を刺激してはいけない」とひたすら北朝鮮に付き従ってきた近年の韓国の責任も大きいが、最も責任を問われるべきは同盟国の中国だろう。 中国は北朝鮮に対し終始、食糧や石油を送り続け、同盟国として安心感を与えながら北朝鮮を支えてきた。北朝鮮が国際社会に対しあれほど高姿勢を取ることができたのも、中国の後ろ盾があったからだ。しかし中国がこれまで、北朝鮮の核開発の動きにブレーキをかけた形跡はない。同盟国――とくに軍事同盟国としてこれは無責任といっていい。 その中国がやっと腰を上げた。北朝鮮の核問題を東アジアにおける地域的安定への「脅威」として真剣に考えはじめたのだ。北京での三者協議開催がそれを物語っている。

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執筆者プロフィール
黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員。1941年生れ。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局長兼論説委員を経て現職。2005年度には日本記者クラブ賞、菊池寛賞を受賞。在韓30年。日本を代表するコリア・ウォッチャーで、韓国マスコミにも登場し意見を述べている。『“日本離れ”できない韓国』(文春新書)、『ソウル発 これが韓国主義』(阪急コミュニケーションズ)など著書多数。
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