北朝鮮の「勝手なシナリオ」を助長する韓国の変化

執筆者:武貞秀士 2003年7月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米 朝鮮半島

核保有路線をどんどん突き進む北朝鮮。その背景には、韓国人の意識変化を見越したある種の“安心感”の拡大がある。 北朝鮮の「核保有発言」が注目を集めている。六月九日、朝鮮中央通信は、通常兵器を削減し資金を経済に振り向けるためと、米国が敵対的な対北朝鮮政策を放棄しない限りと、二つの理由をあげて、「核の抑止力を保有する以外に選択肢はない」と述べた。四月、北京での米中朝三者会談の際、米国外交官に核保有を示唆したことを追認したものだ。北の経済再建は短期間で実現するものではないだろうから、核抑止力をもつ“必要性”は当分続くことになる。 昨年十月、北朝鮮が高濃縮ウラン型核兵器計画の存在を示唆し、にわかに核問題の緊急性が増した。核弾頭の小型化が終わったかどうかは不明だが、北朝鮮が米国に対して「北朝鮮は核兵器を開発している」と思ってほしいと望んでいることは確かになった。そして、「米国が譲歩しないかぎり、とんでもないことになる」というメッセージを毎日のように出しながら、北朝鮮の発言は、「物理的抑制力を持つ」「軍事的対応をする」から、さらに「核抑止力」という表現になった。 北朝鮮の狙いは、米国に核保有を信じ込ませ、米国との間で不可侵条約を締結して、米国の軍事的介入の道を閉ざすことである。イラク戦争のあと、米国介入阻止の必要性がさらに高まったと北朝鮮は見ている。そして、並行して韓国との南北対話を推進してゆきながら、韓国社会を北に引き寄せることを狙う。

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