ASEANの“新盟主”タクシン首相をめぐる日中の温度差

[チェンマイ発]アジアでは指導者の世代交代が進んでいる。中国、韓国に加え、マレーシアでは十月にASEAN(東南アジア諸国連合)の中心的な役割を担ってきたマハティール首相が引退する。マハティール首相に代わる東南アジアの盟主として、注目を集めているのがタイのタクシン首相だ。 タクシン首相は就任から約二年半の間、高い支持率を背景に強いリーダーシップを発揮。低所得者向け住宅建設で五年以内にスラムの解消を目指す一方、中小企業の育成策として公的資金を提供、麻薬撲滅や暴力団一掃のために治安強化も実施するなど、次々と国民受けする政策を展開している。 外交面でも、次々と新しい戦略を打ち出している。タイの古都チェンマイで、六月二十一日からアジアと中東の十八カ国で構成するアジア協力対話(ACD)第二回外相会議が開かれた。このACDはタクシン首相の肝煎りで昨年から始まったもの。域内の発展と成長には、より広範なアジア諸国との関係強化と、中東のオイルマネーが必要という考えから、従来のASEANに日中韓を加えた「ASEAN+3」のほかに、インド、パキスタンなど西アジア諸国、バーレーンなど中東諸国が参加している。 会議では、金融危機の再発を防止するためにアジア債券市場の育成で協力することを決めたほか、貧困対策、人材育成、科学技術などの分野でそれぞれの国が幹事となって具体的なプロジェクトを実施することを約束した。タクシン首相は、演説で「ともに団結すればアジア現実主義が生まれる」「アジアには将来があり、強いアジアが世界の力となる」と力説。アジア主義を根付かせたマハティール首相の後継者を意識した言葉が随所にみられた。

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