深センの「創業板」は年内に開設されるのか

執筆者:山内桂也 2004年4月号
エリア: 中国・台湾

 深セン証券取引所に日本のジャスダック(店頭市場)や東証マザーズに相当する新興企業向け市場の「創業板」が年内にも開設されるとの見方が出ている。創業板は二〇〇〇年秋に開設準備が始まったものの、日本を始めとする世界的な株価低迷など悪条件が重なり、これまで先延ばしが続いていた。しかし、日本と同様に昨年半ばには香港証券取引所、上海証券取引所など中国の株式市場も本格的に回復、新興企業の資金調達意欲も高まってきている。これらの動きを背景に深セン証券取引所が二〇〇四年の運営方針に創業板の開設を盛り込んだこともあり、中国の市場関係者の間で「創業板の実現は間近」との観測が急浮上した。「中国の証券市場は米国のカーボンコピー」と言われる。香港証券取引所の会員権を持ち、中国株取引を専門に行なうユナイテッドワールド証券(本社・沖縄県名護市)によれば、「中国では上海をニューヨーク証券取引所のような中核市場にし、深センは米ナスダックを参考にした新興企業向け市場にする構想がある」という。 ただ、香港には上場会社数が二百近い香港GEMが新興企業向け市場としてすでに存在する。「最近は中国本土企業の香港GEMへの上場が増えており、時価総額ベースでも大勢を占めつつある」(ユナイテッドワールド証券)ため、深セン創業板が設立される場合には香港GEMとの棲み分けをどう図るかが課題になるだろう。中国の市場関係者の一部では、香港証券取引所と深セン証券取引所が統合されるとの観測があることにも注意しておく必要がある。「上海のニューヨーク化、深センのナスダック化」を推進してきたのは上海閥の江沢民氏だったが、「新指導者の胡錦濤氏は必ずしも上海・深センだけに軸足を置くことにこだわっておらず、経済合理性から既存の香港重視の姿勢もうかがえる」(外資系中国株アナリスト)との見方もあり、深セン創業板の実現までにはなお紆余曲折が予想される。

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