リラックスを“強要”されるアメリカの子ども

執筆者:ルイーズ・ブランソン 2004年5月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

「目標に向かって努力せよ」――成果主義に追われるアメリカの子どもの生活は、もはや大人以上の過密スケジュールとなってしまっている。[ワシントン発]一九五〇年代や六〇年代のテレビ番組に描かれた、アメリカの子どもたちの生活をご記憶だろうか。『ビーバーちゃん』や『パパは何でも知っている』に登場する子どもたちの暮らしだ。ゆったり流れる夏の時間。暗くなるまで友だちと遊び、毎晩、ママの手作りの夕食を食べる。週末には家族で映画を見に行き、帰りはアイスクリームソーダで口のまわりをべたべたにする――。 生憎、こうした無邪気な子ども時代は、もはやアメリカの中流階級には存在しないといってもいい。子どもたちの時間は、「目標に向かって努力せよ」という圧力によって歪められているからだ。長らくアメリカの大人社会に蔓延してきた「努力して何かを達成せよ」という圧力は、この十年間にじわじわと子どもたちにも忍び寄り、今ではすっかりその生活を支配するようになった。 胎児ですら例外ではない。胎教としてモーツァルトなどクラシック音楽を聞かせると頭が良くなるという本が出版されてからというもの、アメリカの女性たちは、妊娠するや、クラシックばかりかけるようになった。IQの平均値を引き上げようと、すべての妊婦にクラシック音楽のテープを無料配布するようになった州知事もいる。

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執筆者プロフィール
ルイーズ・ブランソン イギリス出身。英『サンデー・タイムズ』紙モスクワ支局長を経てフリーランスに。米『ワシントン・ポスト』紙元モスクワ支局長で夫のダスコ・ドーダー氏との共著に『ミハイル・ゴルバチョフ』『ミロシェビッチ――暴君のポートレイト』がある。
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