「天安門城楼」の外交戦(上)韓国の課題は「対米修復」

平井久志
執筆者:平井久志 2015年9月10日

 北京の天安前広場では9月3日「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年」の記念式典が開かれた。兵士1万2000人が参加し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む最新鋭兵器を誇示する軍事パレードが行われた。天安門広場を見渡す城楼の上では習近平国家主席や胡錦濤前国家主席、江沢民元国家主席ら歴代中国首脳とともに、プーチン・ロシア大統領、朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領、潘基文(パン・キムン)国連事務総長らが顔を揃えた。
 この天安門の城楼は、朝鮮戦争(1950~53年)終了後の1954年10月1日の国慶節に北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席が毛沢東主席とともに中国人民解放軍の軍事パレードを眺めた場所だ。韓国の国家元首が、朝鮮戦争で銃火を交えた敵国の軍、中国人民解放軍の軍事パレードを中国首脳とともに参観するという姿は少し前までは想像もできない光景だった。激しい戦闘を繰り返した中韓の首脳が城楼の中央に立ったのに比べ、中国軍に参戦を要請し、中国との血盟関係を標榜していた北朝鮮の崔龍海(チェ・リョンヘ)党書記は楼閣の最も端に寂しく立っていた。韓国の外交姿勢の変化、東アジアの外交地図が明確に変化しつつあることを示した光景だった。

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執筆者プロフィール
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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