トランプショックに揺れるヨーロッパ:「極右」からは喝采

 トランプ大統領誕生はヨーロッパ各国にとって、BREXITに続いて今年2回目の「激震」だった。
 フランスの著名な政治学者パスカル・ペリノー氏は、筆者を含む世界中の親しい研究者のところに、書いたものを日ごろからメールで送ってくる。ペリノー氏の知り合いで、フランス政治に関心のある世界の学者が含まれるメーリング・リストになっているのだが、これまではペリノー氏の論文が回覧される程度の機能しかなかった。しかし今回はアンドリュー・クナップというイギリスの著名な政治学者がすぐに「みんなどう思うか」という趣旨のメールをこのメーリング・リストを使って回した。それほどショックは大きかった。そして彼自身の最初の問題提起は、「世論調査は信用できるのか」だった。

カテゴリ: 政治 社会 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
渡邊啓貴(わたなべひろたか) 帝京大学法学部教授。東京外国語大学名誉教授。1954年生れ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程・パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校・ボルドー政治学院客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員教授、外交専門誌『外交』・仏語誌『Cahiers du Japon』編集委員長、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。最新刊に『アメリカとヨーロッパ-揺れる同盟の80年』(中公新書)がある。
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