「新製品発表会」だったプーチン大統領「施政方針演説」のポイント

執筆者:小泉悠 2018年3月5日
バックスクリーンにミサイル映像などを流しつつ演説した(C)EPA=時事

 

 まるでアップルの新製品発表会だった――。

 筆者の知るロシア人はこんな感想をもらした。

 3月1日に行われたウラジーミル・プーチン大統領の議会向け教書演説のことである。

 現地時間正午に始まった演説の前半は、ほぼ経済・社会問題に費やされた。人口減少を食い止め、平均寿命を延ばし、現代のテクノロジーを取り入れた社会インフラの整備や経済成長を実現し……と熱弁を振るうプーチン大統領の姿を見ながら、なるほど今回の演説は、内政面で明るいビジョンを描くことに重点を置くのだろうと思っていた。3月18日には大統領選が控えており、そのためには有権者に夢を見せる必要があるからだ。プーチン大統領も「今後の6年」という言葉を繰り返し、次の任期を自身が舵取りしていくのだという決意をにじませていた。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
小泉悠(こいずみゆう) 東京大学先端科学技術研究センター准教授 1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。民間企業勤務を経て、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員として2009年~2011年ロシアに滞在。公益財団法人「未来工学研究所」で客員研究員を務めたのち、2019年3月から現職。専門はロシアの軍事・安全保障。主著に『軍事大国ロシア 新たな世界戦略と行動原理』(作品社)、『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』(東京堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(同)。ロシア専門家としてメディア出演多数。
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