狙いはスリランカの不安定化か:世界震撼「連続自爆テロ」の背景

執筆者:野嶋剛 2019年4月22日
タグ: 中国 インド 日本
エリア: アジア
テロが起きたコロンボの教会(C)AFP=時事

 

 スリランカで凄惨な爆弾テロが起きた。死者・負傷者合わせて現時点の情報で500人を超える。しかし、テロを実行した組織の実態や背景はいまだ不明のままだ。いずれにせよ、南アジアで地政学的に重要な位置にあるスリランカが揺らげば、米中の世界戦略にも影響を及ぼしかねない。このテロが、長く続いた内戦を終わらせ、復興に向かおうとしているスリランカの未来を曇らせるのに十分な効果を上げることは間違いない。

動機面で謎が多い

 テロは事実上、同時多発的に行われた。最初に被害にあったのはキリスト教の教会だった。4月21日日曜日の午前9時前、首都コロンボとコロンボから少し離れたニゴンボ、そして、島の反対側にあるバティカロアの3つの教会で爆発があった。この日はちょうどキリスト教の復活祭(イースター)であり、礼拝堂は普段より多い信者で溢れていたという。復活祭が狙われたのは疑いようがない。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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