饗宴外交の舞台裏 (250)

「国際感覚」「普遍的価値」が鍵を握る「令和の皇室外交」

執筆者:西川恵 2019年5月23日
両陛下のもとで、新たな皇室外交が行なわれる (C)時事

 

 新天皇、新皇后の下でどのような皇室外交が展開されるのだろうか。それは上皇、上皇后の平成の皇室外交とはまた違った相貌を見せることは間違いないだろうが、令和の皇室外交を見ていくときのキーワードは「伝統文化と普遍的価値の調和」にあるように思う。

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 平成と令和の皇室外交は出発点からして異なる。

 平成の皇室外交は弔問外交という形でスタートした。昭和天皇の「大喪の礼」(1989年2月24日)には世界164カ国の元首、王族、首脳級の賓客が参列し、現在の上皇、上皇后である新天皇、新皇后は「大喪の礼」の前後に数多くの賓客とご会見(外国元首との会談)とご引見(副大統領・首相等元首以下の使節と会うこと)を行った。

カテゴリ: 社会 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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