岩瀬昇のエネルギー通信 (237)

仕掛けた「価格戦争」で低油価・増産でも実は売れない「サウジ」の苦衷

新型コロナによるこれほどの需要減は予想外だったのかもしれないが(C)AFP=時事
 

 数年ほど前、「戦略研究学会」主催の『エネルギー市場の未来と日本の技術戦略』と題された公開シンポジウムで、『「LNG市場戦略」は成功するのか?』と題して講演をしたことがある。

 市場は業界ニーズにより形成され、拡大発展する、というのが結論で、その年の5月に経済産業省・資源エネルギー庁が打ち出した「LNG市場戦略」なるものの脆弱性を指摘したものだ。

 講演の前段で、筆者の経験に基づく日本の石油トレードの歴史をご紹介した。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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