新・日本人のフロンティア (19)

“キリング・フィールド”を超えて発展する「親日」カンボジアのいま

執筆者:北岡伸一 2023年1月30日
タグ: 日本
エリア: アジア
カンボジアのフン・セン首相(右)と会談する筆者(左)(写真提供:JICA、以下同)
20世紀最大級の虐殺をもたらしたポル・ポト政権の崩壊から44年。カンボジアの着実な成長の背景には、政治・経済両面での日本の積極的な関与があった。近年は中国の進出が著しいが、カンボジアが自立の努力を続ける限り、日本は協力を続けていく必要がある。

 2022年9月、タイに続けてカンボジアに行った。最初に行ったのは2011年で、東日本大震災の直後の4月だった。その時に二度講演をしているが、その当時のメモを見ると、冒頭に、津波の被害に対してカンボジアから寄せられた支援、激励に対するお礼を言っていたことがわかった。

日本も関与した、大虐殺からの復興

 現在、カンボジアは人口1670万人、ASEAN(東南アジア諸国連合)で7番目だが、一人当たりGNI(国民総所得)では1580ドル(2021年)とASEANで9番目であり、まだ下位の方にいる。

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執筆者プロフィール
北岡伸一(きたおかしんいち) 東京大学名誉教授。1948年、奈良県生まれ。東京大学法学部、同大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大学教授、東京大学教授、国連代表部次席代表、国際大学学長等を経て、2015年より国際協力機構(JICA)理事長、2022年4月よりJICA特別顧問。2011年紫綬褒章。著書に『清沢洌―日米関係への洞察』(サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』(読売論壇賞受賞)、『自民党―政権党の38年』(吉野作造賞受賞)、『独立自尊―福沢諭吉の挑戦』、『国連の政治力学―日本はどこにいるのか』、『外交的思考』、『世界地図を読み直す』など。
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