新・日本人のフロンティア (24)

内紛と混乱の中でなし得る支援協力とは――スーダン・南スーダン(上)

執筆者:北岡伸一 2023年9月21日
タグ: 日本
エリア: アフリカ
南スーダンで行われたMini-NUD(ナショナル・ユニティ・デイ)でのバスケット試合の様子(写真提供・JICA、以下同)
1956年の独立以前から内部対立が絶えず、紛争と混乱が続くスーダン。それは2011年の南スーダン分離独立後も収まることはなく、この4月には武力衝突が発生して外国人が一斉退避する事態になった。混乱の源泉を探るとともに、日本の南スーダンへの支援を体験的に語る。(本稿下編はこちらからお読みになれます)

 今年の4月、スーダンで武力衝突が起こり、日本人を含む外国人が一斉に国外に退避するという事件が起こった。国内の混乱はなお続いている。

 スーダンは、1989年以来ほぼ30年、オマル・バシール大統領による独裁が続いていた。4年前の2019年4月、民衆の不満、デモ、軍の不信任などによって、この政権が倒れ、そのあとには民主派と軍との協力・妥協による暫定政権が成立した。しかし状況は不安定で、2021年10月に騒擾が発生し、いったん2022年12月に収束したものの、再び今回の騒擾になったのである。

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執筆者プロフィール
北岡伸一(きたおかしんいち) 東京大学名誉教授。1948年、奈良県生まれ。東京大学法学部、同大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大学教授、東京大学教授、国連代表部次席代表、国際大学学長等を経て、2015年より国際協力機構(JICA)理事長、2022年4月よりJICA特別顧問。2011年紫綬褒章。著書に『清沢洌―日米関係への洞察』(サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』(読売論壇賞受賞)、『自民党―政権党の38年』(吉野作造賞受賞)、『独立自尊―福沢諭吉の挑戦』、『国連の政治力学―日本はどこにいるのか』、『外交的思考』、『世界地図を読み直す』など。
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