Weekly北朝鮮『労働新聞』 (24)

「勝利の象徴」金正恩への「忠誠」求める(2023年7月30日~8月5日)

執筆者:礒﨑敦仁 2023年8月7日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
7月27日に行われた祖国解放戦争勝利70周年記念報告大会。金日成の巨大な肖像が掲げられた。雛壇中央に金正恩総書記(『わが民族同士HPより)
金正恩の「象徴」化が加速している。そして忠誠とともに求めたのは、金日成以来の考え方である「自力更生」だ。『労働新聞』注目記事を毎週解読
 

 中露の代表団も迎えて盛大に祝われた朝鮮戦争休戦70周年行事が人々の忠誠心、愛国心をさらに高揚させたとして、その精神力で経済課題を克服しようとの論調が続く。

 そのようななか7月31日付1面トップには、金正恩(キム・ジョンウン)総書記を「勝利の象徴」と位置付ける署名論説が掲載された。「敬愛する総書記同志を勝利の偉大な象徴として心に深く大切にする過程こそが、敬愛するそのお方の偉大性を革命的信念で大切にする過程であり、真の革命戦士として成長する過程である」などと、金正恩が「象徴」であることを連呼しながらそれに「信じて従う」、すなわち忠誠を求める内容である。今年に入り、『労働新聞』の題字右横に掲げられるスローガンにおいて、金正恩が従来の「最高領導者」「首班」ではなく「象徴」と表現されるようになっているが、そのことを定着させようとする論説が出てきている。……

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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