戦時下でも観光客が集まるクリミアの夏

2023年9月3日
エリア: ヨーロッパ
クリミア、ヤルタの堤防沿いを歩く人々[2023年8月18日](C)REUTERS/Alexey Pavlishak
クリミアで今年の夏を過ごすなら、ウクライナ軍の攻撃で死者も出ている橋を渡り、何日もかけて陸路で向かうしか手段はない。それでも「旅の目的はもちろん、休養して、ロシアの旅行業やホテル、観光を助けること」だと、ロシア南部のスタヴロポリから来たアレクサンダー・セマシュコは言う。

[クリミア半島ヤルタ発/ロイター]以前なら、シベリアに暮らすヴィクトル・モトリンがクリミアの別荘でくつろぐには、わずか4時間飛行機に乗ればよかった。今はいったんモスクワに飛んで、そこから1日半電車に揺られなければならない。

 2014年、ロシアはクリミアをウクライナから奪って併合したにもかかわらず、開戦から18カ月を経たロシア・ウクライナ戦争は、ロシア人が大好きな黒海の夏のリゾートであるクリミアへのアクセスをかえって難しくしている(もちろん、世界の大半の国はロシアによるクリミア併合を認めておらず、ウクライナはクリミア奪還を誓っている)。

 問題のひとつは安全性だ。とりわけ昨年10月と今年7月、ロシアとクリミア半島を道路と鉄道で結ぶ長さ19キロのクリミア大橋がウクライナ軍の攻撃を受けてからは。

 だが、シベリア西部のハンティ・マンシースクに住むモトリンは、多少の危険を冒しても毎年恒例の夏の旅行をすることに決めた。「同僚が6月と7月初めに来ていましたから、大丈夫だろうと思ったんです。情勢は落ち着いているし、クリミア大橋も問題ないという話だったので。店の品揃えも、価格も、すべて以前と同じですよ」。

ハンティ・マンシースクから来たモトリン夫妻と子供たち[2023年8月4日](C)REUTERS/Alexey Pavlishak

「新たな問題」

 クリミア半島の気持ちの良い風景と岩の多い海岸線に、革命以前からロシア人は魅了されてきた。しかし、戦争に絡むいくつかの要因によって、休養先の選択は複雑になっている。……

カテゴリ: 社会 軍事・防衛
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