米大統領選の大きな争点の一つとなった同性結婚問題。選挙終盤戦でこの問題をめぐる議論が活発化したちょうど同じ頃、大西洋を挟んで欧州でも、「同性愛」をめぐる問題が欧州議会をおおいに揺るがした。 ことの発端は次期欧州委員会副委員長として、司法、内務を担当するはずだった、イタリアのロッコ・ブッティリオーネ氏が聴聞会で行なった発言。熱心なカトリック教徒で、ローマ法王の右腕ともいわれる氏は、法律と道徳は違うと断った上で、「同性愛は罪(sin)だと思う」と述べ、「女性は子供を持ち、男性に保護される権利がある」といった保守的な価値観を披露した。これは政策には影響しない個人の信条だと述べたが、欧州議会市民権委員会は、同氏を不適任と判断。これにより欧州連合(EU)の内閣にあたる欧州委員会が予定の期日に発足できないという、前代未聞の騒動が起きた。

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