香港ドルが米ドルと連動する「ペッグ制」の開始は一九八三年十月。英中による香港の返還交渉が暗礁に乗り上げ、香港経済の将来性に大きな疑問が生じていた時期だ。変動制だった香港ドル(HKD)は、前年(八二年)の一ドル=六・五五HKD水準から、九HKD台にまで暴落していた。 中央銀行にあたる香港金融管理局(HKMA)は一ドル=七・八〇HKDに固定。香港ドルが同水準を下回る際には、外貨準備を用いて香港ドルを買い支えることになった。さらに二〇〇五年五月には目標相場圏を導入。上限を一ドル=七・七五HKD、下限を七・八五HKDと、限定的な変動帯を設定した。

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