米国の対中戦略における日印の重要性

執筆者:渡部恒雄 2011年7月28日
エリア: 北米 アジア

 7月18日から3日間、ヒラリー・クリントン米国務長官が、就任後初めてインドを訪問した。19日には、2010年に開始した米印戦略対話の枠組みでインドのクリシュナ外相と会談し、インドが懸念するアフガニスタンからの米軍撤収計画について説明した。また、共同記者会見では、インドとパキスタンが関係正常化へ向けた対話を今年再開させたことを評価した。

 もともと夫のクリントン元統領がインドびいきとして知られており、クリントン国務長官にとっても、インドは馴染みのある国である。しかし、インドの目覚しい経済成長と、台頭する中国へのカウンターバランスという点によって、米国にとってのインドの意義は益々高まってきている。このような問題意識は日本のインドとの関係にもあてはまるので、日本としてはよく見ておく必要がある。実際、6月21日に日米の防衛外務閣僚が合意した日米安全保障協議会(いわゆる2プラス2)では、「強く揺ぎないアジア太平洋のパートナーとしてインドを歓迎し、インドの更なる地域への関与及び地域的枠組みへの参加を促す。日米印3カ国間の対話を促進する」と、公式文書ではじめて、インドと日米の協力を合意している。

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執筆者プロフィール
渡部恒雄(わたなべつねお) わたなべ・つねお 笹川平和財団上席研究員。1963年生まれ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール大学で政治学修士課程修了。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政治と政策、日米関係、アジアの安全保障の研究に携わる。2005年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て2009年4月より東京財団政策研究ディレクター兼上席研究員。2016年10月に笹川平和財団に転じ、2017年10月より現職。著書に『大国の暴走』(共著)、『「今のアメリカ」がわかる本』、『2021年以後の世界秩序 ー国際情勢を読む20のアングルー』など。最新刊に『防衛外交とは何か: 平時における軍事力の役割』(共著)がある。
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