将来をチャンプに託す? ウクライナの閉塞感

執筆者:国末憲人 2012年1月30日
エリア: ヨーロッパ

 ぼたん雪が舞う1月のキエフを訪れた。前回来たのは、昨年4月のチェルノブイリ原発事故25周年シンポジウムに出席した時だから、9カ月ぶりである。ぱっと見た感じ、随分街が垢抜けた印象を受けた。


 ドニエプル川を渡る橋のたもとは迂回路の工事が終わり、名物の大渋滞が随分緩和された。以前のキエフはキリル文字だらけで、世界で最もラテン文字の少ない街とも言えたが、幹線道路に英語の案内板が登場した。ボリスピリ国際空港には国際線新ターミナルが完成し、新たにもう一つのターミナル建設も進む。もともと、人口でも産業規模でも潜在力が大きい街だったが、ここに来て近代都市の風格を備えてきた。
 

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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