国際人のための日本古代史 (43)

「京都の水害」と「秦氏の恨み」

執筆者:関裕二 2013年10月10日
タグ: 中国 日本
エリア: アジア
 京都の治水の要・葛野大堰。5世紀後半の遺構は、上流の川底で発見されている(筆者撮影)
京都の治水の要・葛野大堰。5世紀後半の遺構は、上流の川底で発見されている(筆者撮影)

 2013年9月、台風18号の影響で、京都を代表する観光地、嵐山一帯が被害を受けた。また、宇治川も増水し、下流の一部が浸水した。

 ニュースに頻繁に取りあげられた嵐山の中之島公園の惨状を見ながら思い浮かべていたのは、古代豪族・秦氏のことだ。

 あの中之島とやや上流の葛野大堰(かどのおおい)を造ったのは秦氏で、川の流れをふたつに分け、支流を造り出し、灌漑用水に用いたのだ。このため農地は広がり、土地は豊かになった。秦氏は、京都の生みの親といっても過言ではない。平安京の土地を所有し開墾していたのは秦氏だった。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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