饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(80)

フランスワインで乾杯した済州島の夜

西川恵
執筆者:西川恵 2004年9月号
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 朝鮮半島 日本

 韓国のリゾート地・済州島で七月二十一、二十二日の両日、小泉首相と盧武鉉大統領の日韓首脳会談が行なわれた。 両首脳はノーネクタイの打ち解けた雰囲気で会談し、屋外で共同記者会見をもった。「白い雲と青い海。素晴らしい環境で率直に会談できたことをうれしく思います」と小泉首相が言うと、盧武鉉大統領は「本日は最高のお客さんに来てもらいました」と応じた。 会談の主要テーマは北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議で、両国は同協議で日米韓の連携を図っていくことを確認。また日本側は来年三月から九月まで「愛・地球博」(愛知万博)の期間中、韓国人観光客の短期滞在ビザ(査証)を免除し、結果によって恒久的なビザ免除を検討する意向を明らかにした。その夜の饗宴メニューである。 魚介の韓国風クレープ包み 海草入りウニ粥 済州産赤甘鯛の蒸し煮 宮中神仙爐 生人参と叩きカルビ焼き 御飯と魚スープ 済州産マンゴー 五味子茶、三色団子 シャブリ99年 シャトー・トロプロン・モンド98年 一見して、済州島の産物を使った格式張らない料理であることが分かる。興味深いのは、外国首脳が訪韓した時の歓迎宴は、韓国料理に韓国産ワインと決まっているのに、今回はフランスワインを出したことだ。白ワインはシャブリ地方の格付け二番手。赤ワインはボルドー地方でも濃厚な味のサンテミリヨン地区の、これも格付け二番手。高いレベルである。

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執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
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