地震でキャンセルされたフライトでの出会い(中)

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2011年3月22日

地震で突然取り消された北京発東京着のフライト。しかし、明日の朝には重要なアポがあり、日本にどうしても戻りたかったので、名古屋行きの便に変更してもらいました。

そこで同じ境遇にあった日本人のベテラン・カーエンジニアからうかがったお話です。

彼はエンジンの専門家で、特に日本が誇るコンパクトカーのエンジン設計では高い技術を持っていました。退職が近づいてくると、いろいろな中国のメーカーが日本の人材派遣会社やいわゆるヘッドハント会社を通じて、アプローチしてきたそうです。

60歳で、会社を辞めるわけですが、まだまだ体は元気で、お金のためというより、技術一筋で生きてきた自分自身のために、仕事をつづけたかったので、ほとんど行ったことがない中国への転職を決意。三つのメーカーに「関心がある」との返事を送り、ネゴシエーションを始めました。

一つ目は中国西部の自動車会社。最初は1千万円を超えた報酬が、交渉のうちに、だんだん引き下げられてきました。これは信用できないと断念。二つ目は南部の会社でしたが、こちらは「秘密の技術を提供してくれることが条件だ」というので、とんでもない、と断りました。退社にあたって、日本の自動車会社は技術者に秘密保持協定を結ばせるので、法的にはそういうことはしてはならないことになっています。もちろん、100%その協定を守る人ばかりというわけではないようですが。。。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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