リビアを「反面教師」とする北朝鮮

平井久志
執筆者:平井久志 2011年4月4日
カテゴリ: 政治 国際
エリア: 中東 朝鮮半島

 日本が東日本大震災で未曾有の被害を受け、福島原発災害の安全確保の見通しが立たないという深刻な状況の中で、中東でも連日、熾烈な事態が続いた。世界の関心が3月11日の東日本大震災に集中する中で、3月17日に飛行禁止空域設定の国連安全保障理事会決議が採択され、3月19日(日本時間20日未明)に仏、英、米中心の他国籍軍による攻撃が始まった。内戦状態のリビアに対する米欧の軍事介入は中東だけでなく、世界に大きな意味を持つが、東日本大震災のすさまじい被害状況の中で、日本ではその意味が十分に論じられているとはいえない状況だ。

 筆者は本サイトの「リビアを見つめる金正日の心象風景」(3月8日)で「北朝鮮がさらに『核』に固執する要因にならないか危惧するところである」と指摘したが、この危惧が現実のものとなっている。

 北朝鮮外務省は、多国籍軍の軍事介入の2日後の3月22日午後に朝鮮中央通信の質問に回答する形で声明を発表した。
声明は「現在のリビア事態は、国際社会に深刻な教訓を与えている。過去、米国が騒々しいまでに好んだ『リビア核放棄方式』とは、まさに『安全担保』と『関係改善』という甘言で、相手を欺き武装解除をした後、軍事的に襲い掛かる侵略方式であることが世界の面前で露呈した」とした。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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