【速報】ビン・ラーディン死亡の中東への影響

池内恵
執筆者:池内恵 2011年5月2日
カテゴリ: 国際
エリア: 中東 北米

[カイロより 日本時間5月2日13時現在]  5月1日午後11時40分頃(米国時間=日本時間5月2日12時40分頃)からの演説で、オバマ大統領はウサーマ・ビン・ラーディンを殺害したと発表した。米国政府は遺体を確認しているものとみられる。  現在アラブ諸国では(早朝ということもあるが)、筆者の知り得る限り、米国政府が発表する以外の独自の情報は出回っていないが、ビン・ラーディン死亡が中東と南アジア情勢に及ぼす意味をここで速報的に記しておこう。  ビン・ラーディンは、各国でアル=カーイダを名乗る過激派組織や個人にとっては精神的指導者・シンボルと化しており、個々の組織の実際の作戦行動に与える直接的な指揮命令や影響力は限定的である。ビン・ラーディンの死亡が各国の過激派組織の活動に直接に与える影響は少ない。しかし諸勢力がシンボルを失うことの意味は大きい。  ビン・ラーディンの死亡が持つより大きな意味は、米国の対中東・南アジア政策の転換を促進することだ。長期化し終結のきっかけが見えていなかった米国のアフガニスタンでの軍事作戦は、元来はウサーマ・ビン・ラーディン捕捉・殺害を目的に始まっており、これで早期撤退の大義名分ができる。つい先日発表された、国防長官とCIA長官の交代人事が、これとどう関係しているのかが興味深い。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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