パイプライン計画承認が招く環境派の「オバマ離れ」

足立正彦
執筆者:足立正彦 2011年9月5日
エリア: 北米

 国務省は、8月26日、カナダのアルバータ州で生産されるオイルサンドから抽出されたタールサンド原油をテキサス州のメキシコ湾沿岸地域にある石油精製施設に輸送するパイプライン建設計画案について、環境への影響はないとの環境評価を下した。このキーストーンXLパイプライン計画は、カナダの大手エネルギー企業トランスカナダ社によるものである。今後、関連省庁の承認、追加調査の実施、公聴会の開催、パイプラインが敷設される州政府との協議などの手続きが残っているが、今回の環境評価で大幅見直しは行なわれずにオバマ政権が年末迄に正式承認することが確実視されている。これにより同パイプライン建設計画案はその実現に向け大きな一歩を踏み出すことになった。

 建設費用総額70億ドル、総距離約1700マイルにも及ぶキーストーンXLパイプライン建設計画案については、建設推進派と反対派が真正面から対立しており、激しい議論が展開されている。建設推進派はエネルギー安全保障の観点から、不安定化する中東地域への過度の原油依存から脱却し、地政学上のリスクが殆どない隣国カナダから原油を輸入するためにも建設を推進すべきと訴えている。スティーヴン・チュー・エネルギー長官も中東地域に過度に原油を依存するよりもカナダへの依存を高める方が米国の国益につながるとの見解を示している。建設推進派は雇用創出の観点からも同パイプライン建設計画案への支持を明確にしている。ゲリー・ドーア駐米カナダ大使は同パイプライン建設による米国内での雇用創出効果について繰り返し訴えてきた。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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