「サルコジ後」も見えてきた2012年仏大統領選

国末憲人
執筆者:国末憲人 2011年10月3日
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ
頭一つ抜け出したオランド前党首(中央)を現党首のオブリ(左)と前回大統領選の公認候補ロワイヤルが追う(c)AFP=時事
頭一つ抜け出したオランド前党首(中央)を現党首のオブリ(左)と前回大統領選の公認候補ロワイヤルが追う(c)AFP=時事

 9月末のフランス元老院(上院)選で、社会党を中心とする左派が歴史的な勝利を収めた。勢いに乗る社会党の大統領候補レースでは、前第1書記(党首)のフランソワ・オランドが頭一つ抜けだし、今月開かれる社会党の予備選を制しそうな情勢だ。これまで混沌としていた「サルコジ以外の大統領」の姿がおぼろげながら見えてきた。ただ、サルコジ陣営(右派)の巻き返しや中道や右翼の動向など、今後を左右する要素はまだ多い。来春の大統領選に向けて、フランスは政治の季節を迎える。

「右派の牙城」が崩れる

 地方議員らによる間接選挙の制度を採る元老院は、自治体数の多い農村部が膨大な票を持っているため、「農業会議所」などとしばしば揶揄されてきた。当然、右派の牙城として知られ、1958年に現在の第5共和制となって以来、左派は一度も多数を占めたことがない。だから、9月25日に投開票があった元老院選で左派が躍進し、非改選議席と合わせて定数348のうち過半数の177議席を得た結果は、極めて画期的だった。これを受けて10月1日、社会党のジャンピエール・ベルが初の左派議長に選出された。
 フランスで予算法案審議の優先権や両院不一致の場合の決定権は国民議会(下院)が握っており、元老院での多数派確保は、憲法改正の場合の抵抗権などを除くと象徴的な意味合いが大きい。ただ、左派はこれまで、昨年3月の地域圏議会選、今年3月の県議会選を続けて制しており、勢いが一層明確になってきたといえる。
 それは、内紛と足の引っ張り合い続きだった社会党内部で、ようやくまとまりが見え始めたことと、無縁ではない。

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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員を経て、現在はGLOBE編集長、青山学院大学仏文科非常勤講師。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など。
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