オバマ陣営にも動き――憶測を呼ぶ首席補佐官交代

執筆者:渡部恒雄 2012年1月19日
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 北米

 共和党の予備選が進行する中、新年になり、再選を目指すオバマ陣営のほうにも興味深い動きがあった。ホワイトハウスの要である首席補佐官の交代である。昨年初頭にアグレッシブなラーム・エマニュエル首席補佐官から、クリントン政権で商務長官を経験した大物のウィリアム・デーリー首席補佐官に交代したばかりなのだが、今度はデーリーが退任し、ホワイトハウス内の財政政策の要であるジャック・ルー行政管理予算(OMB)局長が首席補佐官に昇格することになった。デーリーの任期は1年だけであり、この交代はいかにも不自然なため、様々な憶測を呼んでいる。

 ワシントン発の読みの1つは、商務長官を経験し、ウォールストリートの金融業界をはじめとするビジネス界や共和党との関係が深かったデーリーをルーOMB局長に代えることで、大統領選挙を控えて、ウォールストリート占拠運動などで大衆の批判の矛先になっている金融業界や、ビジネスに近い共和党議会などから距離を置き、よりポピュリスト的な選挙シフトに備えるのではないか、という見方だ。これは選挙戦略だけを見た、「うがった」見方のような気がする。

 ルーOMB局長は、「ロー・キーのインサイダー」と評価されるような政策のプロであり、あまり政治的要素は強くない。議会の歳入関連の仕事でルーを良く知る共和党のジャド・グレッグ上院議員(ニューハンプシャー選出)は、AP通信のインタビューに答えて、ルーの首席補佐官の任用を「ルーは大変プロフェッショナルで、誠実に仕事をする。彼は超党派の人間とはいえないが、仕事内容を良く知っている」と評価し、「堅い選択だ」(Solid Choice)と答えている。

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執筆者プロフィール
渡部恒雄 わたなべ・つねお 東京財団上席研究員。1963年生れ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチで政治学修士号を取得。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政党政治、外交政策、日米関係などの研究に携わる。05年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て現職。著書に『「今のアメリカ」がわかる本』など。
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