本格化するフランス大統領選挙戦

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2012年3月6日
カテゴリ: 国際 政治 金融
エリア: ヨーロッパ

 4月下旬から5月上旬にかけて2回投票制で実施されるフランスの大統領選挙がようやく熾烈化してきた。本命の現職サルコジ大統領(UMP国民運動連合)が2月15日にテレビで立候補を正式に声明し、すでに昨年10月予備選挙で勝利したオランド社会党候補とともに左右2大対立候補が出そろったからである。
保守派ではサルコジ氏に代わる立候補者が見当たらないので、現職大統領は最後まで国民のために働いている姿はそのまま選挙キャンペーンになると踏んで、正式立候補は3月にまでずれ込むと考えられていた。しかし、オランド氏の存外の人気を前に劣勢に立たされたサルコジ氏は、選挙活動を前倒しにする決意をしたのである。

 目的合理主義者で、成果主義を標榜する大統領にとって数字が示せないのは苦しい。1月29日のテレビインタヴューでは、「あなた方はこの5年間で私がすべて成功したかどうかと私に問う。それに対して私ははっきりといいます。それは違います」と自ら正直に語った。

 保守派与党UMPでは競争相手がいないサルコジ大統領が正式に立候補声明すれば、事態は一気に好転するものと予想されていたが、支持率は微妙なところにある。2月17-18日のIPSOSの調査ではサルコジ大統領の支持率は2週間前と変わらず25%、優勢にあるとされるオランド社会党候補の支持率は32%。しかし20日のCSAの調査ではサルコジ大統領の支持率は前回と比べて1%伸びて27%、オランド候補は2%後退して28%と、両者が拮抗する数字も出ている。これは立候補後最初となった、19日のマルセイユでのサルコジの集会の影響であると考えられている。いずれにせよ、当初の予想とは異なって、サルコジが追う形で今後の選挙戦は相当にもつれた展開になることが予想される。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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