共和党穏健派の重鎮「ルーガー上院議員」敗北の衝撃

足立正彦
執筆者:足立正彦 2012年5月9日
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

 今月8日、インディアナ州選出連邦上院議員選挙の共和党予備選挙が行なわれ、現職のリチャード・ルーガー上院議員がティーパーティー(茶会党)運動支援勢力の全面支援を受けた同州財務長官のリチャード・マードックに大敗した。穏健派共和党上院議員の「最後の重鎮」であるルーガーは、現在の任期が満了する来年1月に36年間に及ぶ上院議員生活に終止符を打つことになった。オリン・ハッチ上院議員(ユタ州)とともに、現職の共和党上院議員としては最も在職期間が長いルーガーは、インディアナポリス市長を経て、1976年に上院議員に初当選して以来、上院外交委員会委員長を歴任するなど外交分野で大きな影響力を発揮し、旧ソ連崩壊後には核兵器の廃棄などに積極的に取り組んできた政治家である。

   ルーガーが前回勝利した2006年中間選挙では、ルーガー打倒は困難と判断した民主党が対立候補擁立すら断念した結果、得票率87%を獲得して6選を果たしている。ところが、今回は昨年からインディアナ州内の80以上の茶会党支援団体がルーガーの共和党上院議員候補指名獲得を阻止するために共闘する動きを明らかにしていた。また、フリーダムワークス、経済成長クラブ(Club for Growth)、全米ライフル協会(NRA)といった茶会党運動を支援してきた全米規模の有力保守派団体も、ルーガー追い落としを狙って、マードック支持のための政治広告に総額300万ドル以上の資金を拠出した。ルーガーは現在80歳の高齢であり、議員生活が長期化する中、地元インディアナ州からも遠い存在となり、同州の有権者や共和党の地元有力者らから「ワシントン・エスタブリッシュメント」の一員と見られるようになったことも今回の敗因として指摘されている。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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