テロ組織がシリア反政府勢力内で暗躍、介入をためらうCIA

春名幹男
執筆者:春名幹男 2012年8月31日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 中東

 シリアへの介入に消極的な姿勢を示すオバマ米政権。アサド・シリア政権軍と戦うシリア自由軍などへの武器供給は、米国の意を受けたとみられるトルコ、サウジアラビア、カタールなどに任せ、米国は軍事援助を行なわず、これまでで計7600万ドルに上る人道援助に限定している。

 一部報道によれば、オバマ政権は米中央情報局(CIA)による秘密工作の実行を認めた「所見」(finding)をまとめたとロイター通信は伝えている。しかしシリア領内に入ったCIA要員は少数とみられ、①反政府勢力各派の人物を評価し、②協力を促す、③通信機器を供与する――といった工作を展開しているもようだ。しかし直接的に介入する秘密工作は行なっていないとみられている。

 オバマ政権のシリア対策は国務・国防両省、CIAが中心となって進めている。国務省はバーンズ副長官が調整の中心人物で、「アサド後」のシリアの人道問題、経済再建、治安、化学兵器、移行政府といった分野の計画を策定している。

 国防総省は中央軍司令部と合同で「危機行動チーム」を結成、シリアが貯蔵している化学兵器の安全確保を最優先に作業している、と伝えられる。

「アラブの春」以降、リビアでも化学兵器の確保が重大な課題になった。その際、CIA要員は反政府組織とともに、北西部シルト近くのワッダンの武器保管庫で化学兵器を発見、安全に確保した。しかし、シリアでの化学兵器捜索は困難を極める可能性がある。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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