政治をゼロから考える (5)

自民党と民主党はどこが違うのか

執筆者:宇野重規 2012年9月10日
エリア: アジア

質問 「自民党と民主党はどう違うのですか」


 最近、とても多くの質問をいただいていますが、いずれも、政治の現状に対する強い不満がうかがえるものばかりです。
 今回はそのうちの2つをとりあげます。1つは「自民党と民主党の違いがわかりません。どちらかを選べと言われても、『民主がダメだから自民』、『自民がダメだから民主』という選び方にしかなりません。2つの党に本質的な違いはあるのでしょうか」。
 もう1つは、「冷戦下においては政治対立にもわかりやすい構図がありました。しかし、現在の政党では、かつて対立していたイデオロギーの持ち主同士が手を携えています。なぜ彼らは主義主張でまとまらないのでしょうか」(いずれも大意)。
 現在、自民・民主の両党で党首選へ向けた動きが活発化していますが、めまぐるしい駆け引きが展開されるばかりで、両党がいかなる政策を目指しているのか、いっこうに見えてきません。どちらの党にも内部に多様な考え方の人々が雑居していて、全体の方向性がわかりにくいという意味では、いい勝負です。
 自民党の自民党らしさ、民主党の民主党らしさとは、いったい何なのでしょう。方向喪失気味な両党の間で「第3極」ばかりが話題になり、とはいえこの「第3極」もまた、どこへ向かうのかよくわからないというのが、現在の状況であるといえるでしょう。
 第2のご質問にもあるように、かつての冷戦時代には、いいにつけ悪いにつけ、政党間の違いは明らかでした。それと比べると、なぜいまの政党の違いはこれほどまでにわかりにくいのでしょうか。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
宇野重規(うのしげき) 1967年生れ。1996年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。東京大学社会科学研究所教授。専攻は政治思想史、政治哲学。著書に『政治哲学へ―現代フランスとの対話』(東京大学出版会、渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン特別賞)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社、サントリー学芸賞)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)、共編著に『希望学[1]』『希望学[4]』(ともに東京大学出版会)などがある。
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