「暴動」が急増する南アフリカ

白戸圭一
執筆者:白戸圭一 2012年10月11日
カテゴリ: 国際 社会
エリア: アフリカ

 南アフリカのプラチナ鉱山で起きた労働争議の政治経済的な意味について、平野さんが2度にわたって解説してくれた。2つの記事にある通り、民主化から18年が経過した南アでは、国民間の分断が顕在化している。この点に関連して、近年の南アで増加が著しいPublic Violenceについて記しておきたい。

 
  Public Violenceは適切な邦訳を見つけるのが困難な言葉だが、敢えて言えば「大衆騒擾」や「暴動」が実態に近いかもしれない。45人の犠牲者を出したプラチナ鉱山の労働争議以外にも、南アでは09年ごろからPublic Violenceが頻発し、多数の犠牲者が出ているのである。

 南アでは毎年9月、政府が前年7月1日から1年間の犯罪認知件数について発表し、メディアを賑わせる。周知の通り、南アは殺人、強盗、強姦など凶悪犯罪の発生率が世界最悪水準にあるため、治安情勢が国民の大きな関心事である。

  今年9月発表の2011年7月~2012年6月の統計は、治安情勢は依然として深刻な状況にあるものの、改善傾向にあることを示した。殺人認知件数は15609件で、人口10万人当たりの発生率は30・9件だった。なおも日本の約30倍の高率だが、前年度の31・9件より若干は低率で、1994年の民主化当時より54%減少した。強盗など他の凶悪犯罪も概ね減少傾向であった。

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執筆者プロフィール
白戸圭一
白戸圭一 三井物産戦略研究所国際情報部 中東・アフリカ室主席研究員。京都大学大学院客員准教授。1970年埼玉県生れ。95年立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。同年毎日新聞社入社。鹿児島支局、福岡総局、外信部を経て、2004年から08年までヨハネスブルク特派員。ワシントン特派員を最後に2014年3月末で退社。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞)、共著に『新生南アフリカと日本』『南アフリカと民主化』(ともに勁草書房)など。
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