“安倍内閣”の経済政策の現実味

磯山友幸
執筆者:磯山友幸 2012年11月29日
エリア: 日本
「新しい自民党」の姿は示されているか(c)時事
「新しい自民党」の姿は示されているか(c)時事

 安倍晋三総裁率いる自民党が総選挙に向けた政権公約(マニフェスト)をまとめた。「日本を、取り戻す。」がメインのキャッチ・コピーである。誰が、誰から日本を取り戻すのか。そもそも今の日本は誰かに取られた、あるいは、どこかへ行ってしまったという主張なのか。かつて民主党が掲げた「政権交代。」という直截的なコピーに比べ、はるかに難解である。いったい自民党は、政権を奪還したとして、どんな政策を実行しようとしているのか。  最近の政党の標語にはなぜか句読点がふられている。制作を請け負っている広告代理店のセンスなのだろう。民主党の「政権交代。」というコピーは、奇しくも「政権交代してそれで終わり」という結果になった。それでは自民党は「日本を取り戻し」て、ハイそれで終わり、とでも考えているのだろうか。

「経済」で違いを出したい自民党

 政権公約の冒頭には、「まず、復興。ふるさとを、取り戻す。」とあり、続いて4つの「アクション」が並んでいる。1番目が「経済を、取り戻す。」、2番目が「教育を、取り戻す。」、3番目が「外交を、取り戻す。」、そして4番目が「安心を、取り戻す。」である。安倍氏がご執心の外交・安全保障ではなく、経済を真っ先に持ってきたのは、民主党との「違い」を鮮明にできる、と考えたためだろう。
 では、その「違い」とは何か。
 政権公約では、「縮小均衡の分配政策から成長による富の創出への転換を図る」と謳っている。つまり、民主党の経済政策を分配中心だったと否定し、自民党は成長重視でいく、としているのだ。確かに民主党政権では「子ども手当」や「高校無償化」「農家戸別所得補償」といった直接給付に重点が置かれ、産業や企業を育てて経済を拡大しようという政策は後手に回った。
 自民党は今回の政権公約で、「世界で一番企業が活動しやすい国」「個人の可能性が最大限発揮され、雇用と所得が拡大する国」を目指すとしている。つまり、企業活動を活性化させることで、雇用を増大させ、最終的には所得拡大に結びつけようというわけだ。
 では、「世界で一番企業が活動しやすい国」にするには何が必要なのだろうか。

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執筆者プロフィール
磯山友幸
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)などがある。
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