移民大陸・欧州に学ぶ 外国人犯罪者急増にオーストリアが立てた「奇策」

執筆者:北村隼郎 2004年11月号
カテゴリ: 国際

人口流入の増加は、刑務所も定員超過にしてしまった。ついにオーストリア政府は犯罪者の“逆輸出”に踏み切ることに――[ウィーン発]外国人犯罪者の増加に悩む中欧のオーストリアが奇想天外な対策に乗り出した。同国で逮捕されるルーマニア人犯罪者の急増を受け、オーストリア政府の資金でルーマニアに刑務所をつくり、受刑者を「輸出」しようというのだ。一見、突飛な試みにも見えるが、スイスやドイツに加え日本政府までが強い関心を示し始め、同様の動きが広がる可能性が出てきた。 ウィーン旧市街の一角にある市庁舎。冬のクリスマス市など四季折々にさまざまな催し物の舞台となるウィーン屈指の観光名所であるこの市庁舎のすぐ裏手に、約千二百五十人もの受刑者(一部は未決囚)を収容するヨーゼフシュタット刑務所があることは、この街に長く住んでいても知らない人が多い。 実はこの刑務所の定員は九百人。三割強も定員を超過している理由は、外国人犯罪者の増加だ。同刑務所に現在服役する成人受刑者に占める外国人の比率は六五%。十年前は三五%だったというから、ほぼ倍増したことになる。外国人受刑者の多くは、スリや万引きなどの軽犯罪で逮捕されている。 ここに入所する外国人受刑者は、オーストリアの公用語であるドイツ語を十分話せない場合、まず出身国の言葉で書かれた「所内生活マニュアル」を渡される。看守が細かい指示を与える場合には、同じ出身国のドイツ語を話す「先輩受刑者」を連れてきて通訳をさせている。

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