韓国新政権を読む(下)朴槿恵大統領に求められる「チェンジ」

平井久志
執筆者:平井久志 2013年3月9日
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 朝鮮半島

 経済チームは玄旿錫(ヒョン・オソク)経済副首相内定者=韓国開発研究院(KDI)院長=と趙源東(チョ・ウォンドン)青瓦台経済首席秘書官(前租税研究院長)がコントロールタワーだ。2人とも忠清道出身。京畿高―ソウル大学というコースも同じで、いずれも経済企画院出身の経済官僚だ。韓国の経済官僚の主流は日本の財務省にあたる旧財務部。経済政策を総括した旧経済企画院は日本の経済企画庁と似ている(1994年に財務部と経済企画院が統合され財政経済院に。これが98年に財政経済部に改組され、さらに2008年に企画予算処と統合して企画財政部となった)。

 過去の政権では、主流の旧財務部出身者が経済政策の司令塔になることが多かったが、今回は旧経済企画院出身者による経済運営となる。これと釣り合いを取る意味もあるのか、朴槿恵(パク・クネ)大統領は3月2日、金融委員長には旧財務部出身の申齊潤(シン・ジェユン)企画財政部第1次官を起用した。

 

「経済民主化」は可能か

 気になるのは2人とも経済成長優先論者という点だ。玄旿錫内定者は最近のインタビューでも「経済民主化よりは経済先進化が優先」と答えている。

 朴大統領は大統領選挙で財閥への規制を含めた「経済民主化」を公約に掲げてきた。しかし、政権引き継ぎ委員会は2月21日に▽雇用中心の創造経済▽一人一人に合わせた雇用と福祉▽創意教育と文化がある生活▽安全と統合の社会▽幸せな統一時代の基盤構築――とする朴政権の5大目標を発表した。公約の中心課題として掲げた経済民主化への明確な言及がなかった。このために、経済民主化路線がやや後退するのではという見方が出た。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順