華人企業家に「正しい納税」を求めたアキノ大統領

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2013年4月20日
カテゴリ: 国際 政治

 その時、会場にいた700人を超えるフィリピンの華人企業家は唖然と声を失い、また呆然としたに違いない。なんとアキノ大統領から「正しい納税」を求められたからだ。

 3月22日、マニラでのこと。フィリピン全土から750人の有力華人企業家が集まり、フィリピン華人社会を統括する菲華商聯総会(FEDERATION OF FILIPINO-CHINESE CHAMBER OF COMMERCE AND INDUSTRY,INC.)の第29回代表大会が開催された。

 2年に1回開かれる同大会へのアキノⅢ世大統領(以下、アキノ大統領)の参加は2011年の前回大会に続いて2回目。今回は内務、司法の両大臣に加え、華人系の税務局長を引き連れて出向き、菲華商聯総会を筆頭とする華人団体が積極的に進めている教育、医療、災害救援などの慈善事業のフィリピン社会に対する高い貢献度を賞賛し、中国語で何度も「謝謝你們」と口にしていた。

 続けて中国語で「えびシュウマイとマッサージが好きだ」などと軽口を利いて会場を沸かせた後、シリアスな口調に転じる。11年から13年の間の納税実績を示しながら、福建南部方言で「申し訳ないが、正しい納税をお願いする」と。フィリピン華人の大多数が福建南部をルーツとしているから、ということだろう。次いで英語で「国民の義務を守ることこそ、みんなに対する私の心からの呼びかけだ」と訴え、未納者は司法大臣か税務局長との話し合いに応じてもらいたいと続けた。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順