ウォルフォウィッツ的思考とは何か

執筆者:中山俊宏 2005年3月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

「ネオコン」と呼んでおしまいにしては、この男の本質も、アメリカの政策の意味も、理解することはできない。人物像の深層に迫る。 対イラク戦争の設計者と呼ばれたポール・ウォルフォウィッツ国防副長官の留任が決まった。ウォルフォウィッツの留任はイラクでの戦闘が続行中ということを根拠とした消極的な留任に過ぎないのか。それともそこにより積極的な意味合いを読み取るべきなのか。 ブッシュ大統領二期目の就任演説は、「自由」を軸にした壮大な規模の変革を訴えるものだった。そこにウォルフォウィッツの思考の痕跡を見出した人は少なくあるまい。この底抜けに楽観的でナイーヴとさえ言える民主化論が、アメリカの「帝国的野心」を覆い隠すための“表の顔”に過ぎないとは言い切れないだろう。 フォッグ・オブ・ウォー――これは、戦争という状況そのものを覆う霧の意である。それは政策決定当事者の認識を覆う霧であるともいえる。九・一一テロ攻撃後に発生した霧はいまだ晴れていない。しかし、その中で一貫した世界観を提示し、アメリカの役割に関する議論を方向づけたのがウォルフォウィッツだった。 政権内随一の「ネオコン」と称されたウォルフォウィッツ。しかし、なぜウォルフォウィッツの議論が、政策論争の中でブッシュ大統領に対して説得力をもったかを理解するためには、おそらく「ネオコン」というステレオタイプ的理解から脱却しなければならない。

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執筆者プロフィール
中山俊宏 1967年生れ。国際政治学博士(青山学院大学)。日本政府国連代表部専門調査員、日本国際問題研究所主任研究員、津田塾大学国際関係学科准教授を経て、現職。共著に『アメリカ現代政治の構図』(東京大学出版会)、『アメリカのグローバル戦略とイスラーム世界』(明石書店)などがある。
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