なぜイギリスはユーロに参加しないのか。その背景には「ブラック・ウェンズデー」をきっかけにした独自路線の成功があった――[ロンドン発]英国で新年度の予算が発表される日は、特別な一日だ。「予算委員会」とは名ばかりの議論を延々と繰り広げる日本とは大違いの、まさに予算と政府の経済運営方針が堂々の主役になる一日である。 三月十六日――五月に行なわれる総選挙前、しかも次の首相になれるかどうかの崖っぷちにいるという事情もあり、今年の予算演説にはゴードン・ブラウン財務相の並々ならぬ熱が込められた。「統計上遡れる一七〇一年以来、英経済は最も長期の拡大を続けている」。そう切り出した後、得意の数字を並べたて、成果を強調。「十二月に四十九・四半期連続の成長と報告したが、今や五十期連続だ。これはさらに五十一期、五十二期、五十三期、五十四期と続く」。
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