牛肉輸入再開を日本に迫る米国の苛立ちと矛盾

執筆者:久留信一 2005年5月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

肉牛生産者や食肉加工業者からのロビイ活動を受け、農業州選出議員の声は高くなるばかり。だが、安全性の確立は遅れ――[ワシントン発]加藤良三駐米大使は、その日、米国からの風圧を肌で感じていた。 三月十四日、米連邦議会議事堂があるキャピトル・ヒル。上院財政委員会のグラズリー委員長(共和党、アイオワ州)の要請で議会を訪れた。米国産牛肉輸入の再開問題に対する日本の見解を伝えるのが目的である。「牛肉の禁輸措置は通商問題ではない。食の安全の問題だ。安全性の判断は、政府から独立した機関である食品安全委員会が下す」。大使の言葉に議員から質問が飛ぶ。「では、輸入はいつ再開されるのか」。 会談は約四十分間に及んだ。上院会議室から出てきた大使は、「上院議員の言葉に切迫感がある感じがした」と語った。その言葉通り、会談を終えて記者の質問に答えたグラズリー委員長の口調も厳しかった。「問題は長期化している。日本に国内業界保護の意図があるという疑いにつながりかねない」。 会談から三日後、上院に対日経済制裁決議案が提出された。既に下院でも制裁決議案は提出されており、米議会は上下院そろって、日本に厳しい姿勢を打ち出した形になる。

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