誰が北朝鮮を動かしているのか(上)「金正恩体制」の安定ぶり

平井久志
執筆者:平井久志 2013年8月12日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 朝鮮半島

 北朝鮮が今年最大の行事と位置付けていた朝鮮戦争の休戦協定締結60周年(7月27日)の行事が終わった。北朝鮮にとっては「祖国解放戦争戦勝60周年」を祝う「勝利者の祝典」と位置付けた行事だった。

 北朝鮮は、昨年12月の事実上の長距離弾道ミサイルである人工衛星発射から、今年2月の3回目の核実験、そして3月以降の朝鮮戦争休戦協定の白紙化や「ソウルやワシントンを火の海にする」という威嚇などを続けた。「休戦協定60周年」を「祖国解放戦争戦勝60周年」としているだけに、軍事パレードを含めた関連行事では国際社会に挑発的なメッセージを発するのではないかという危惧もあった。しかし、終わってみれば、軍事パレードでは新兵器は登場せず、崔龍海(チェ・リョンヘ)軍総政治局長が行なった演説では、「核保有国」などが強調されず、比較的抑制された内容となった。今年5月以降の対話路線が継続していることを印象付けた。

 

「金正恩時代」の本格的スタート

 今回の休戦協定締結60周年記念行事の全体的なイメージは「金正恩(キム・ジョンウン)時代の本格的スタート」だった。

 昨年4月の金日成(キム・イルソン)主席誕生100周年の軍事パレードは、100周年ということもあり、金日成主席の偉大性、それを継承した金正日(キム・ジョンイル)総書記の偉大性が強調された。金正恩時代のスタートというよりは、金日成主席、金正日総書記時代の「継承」というイメージが強かった。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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