裁判官が和解話を持ちかける理由――離婚裁判の流れ2 

執筆者:藤沢数希 2013年10月12日
カテゴリ: 文化・歴史 社会
エリア: 日本

 前回では、離婚裁判とは、約1カ月おきに数十ページ以上もの書面で、お互いに主張し、反論し合うプロセスだということを説明した。そしてこうして積み上げられた書面の数々は簡単に電話帳数冊分になることが分かっていただけたと思う。 かつては愛した夫婦同士が、文書でお互いをこれでもかと罵り合うわけである。そこにあるのは、双方の金に対する愛情である。少しでもたくさん金を取りたい奥さんと、少しでも自分の金を守りたい夫との血みどろの法廷闘争である。 そんな夫婦も大変だが、犬も喰わない夫婦喧嘩を、1年以上も聞かせ続けられる裁判官も大変である。そして、家庭裁判所の裁判官は、こんな進行中の裁判をひとりで100-200件も抱えているのである。 日本の官僚は、昔ほどの輝きは失ってしまったが、現在でも、貧しくとも、優秀で勤勉である、と世界から評されているが、日本の裁判官も例外ではない。彼ら、彼女らは、労働基準法などお構いなしに、毎日残業続きである。週末も、この文書に書き起こされた、犬も喰わない、金欲まみれの夫婦の痴話喧嘩を読み続けるのである。 さて、裁判官の出世で何が大事かということを考えることは、裁判の趨勢を理解するために重要だろう。それは第一に年間の事件の処理件数である。そして処理というのには、当然、和解も含まれている。

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執筆者プロフィール
藤沢数希 理論物理学、コンピューター・シミュレーションの分野で博士号取得。欧米の研究機関で研究職に就いた後、外資系投資銀行に転身。以後、マーケットの定量分析、経済予測、トレーディング業務などに従事。また、高度なリスク・マネジメントの技法を恋愛に応用した『恋愛工学』の第一人者でもある。月間100万PVの人気ブログ『金融日記』の管理人。著書に『なぜ投資のプロはサルに負けるのか?』(ダイヤモンド社)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』(同)『「反原発」の不都合な真実』(新潮社)『外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々』(ダイヤモンド社)など。
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